*お向かい彼氏*






復縁した次の日。




あたしは朝イチで巧に電話した。






「…はい」



「もしもし?おっはよー!」




「…その爽やかさ超うぜぇ…こっちは二日酔いだっつーの。」






へっ、まだ19歳のくせに!




てか昨日そんな飲んでたっけ?




そんな疑問をぶつけると、言いにくそうに黙り込む。





「…もしかして自棄酒?」




「だったらわりーかよ!」




ぷっ、変わってない。



恥ずかしくてキレたふりするところ。





「まーあたしの初めてだけは奪えたんだから、感謝してよ?」




「おっお前なぁ…!朝からそーいうこと言うなよ!」





純粋なとこも…。






「…とりあえず、ありがとね。」



「あ?」



「今までも、昨日のことも。ちゃんと寄り戻したから。巧には感謝してる…。」




「…良かったな。幸せになれよ」







あぁ、どこまでも良いヤツで




どこまでも優しい巧。






あたしの人生唯一の、光輝以外のオトコ。





「じゃあね、また」



「おう、またな。」






もう終わりは作らない。



未来がちゃんとある。






スッキリした気持ちで、早く祐希に伝えるべくあたしは駅から駆け出した。








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