*お向かい彼氏*
「…ひかるー?」
「……。」
「ひかる…ごめんって!」
「………。」
あたしは今、ソファに体育座り。
必死に話しかける光輝の存在なんて無い物のように黙り込んでいる。
なんでって?
そんなの…
数分前、あたしは我ながら大胆な発言をしたと思う。
なのに、この男は…!!
なによ!なんなのよ!
「やっぱり今日は…ごめん」
ってーー!!!
その言葉を聞いたとき、本当に聞き返したくなった。
求められて、覚悟したあたしはなんだったのよ…
それからあたしはずっとこの体勢を保っている。
「ひかる…頼む、こっち向いて?」
そんな機嫌取りするくらいなら
拒まなきゃ良かったじゃん。
なんで、なんでこーなんの。
光輝は全っ然、わかってない!
痺れを切らしたように無理矢理顔を持ち上げられる。
「ひかるってば!」
「…なに」
「本当ごめん、ひかるが嫌いとかじゃないから…」
そんなのわかってるもん。
「…どうしたら機嫌直してくれる?」
…もうヤダ。
プツンと糸が切れて、無表情に涙が滲んだ。
「うぅ〜…光輝なんか嫌い…」
「え!え⁉︎ご、ごめん!本当ごめん!」
「嫌いぃーー…っ」
バカ。
なんでわかんないのよ。