*お向かい彼氏*







「あのねぇ…!今あたしがどんだけ恥ずかしいかわかる⁉︎あんな発言して!光輝に引かれたらあたし…生きてけない…っ」




あんなこと言わなきゃ良かった。



ホントは今すぐにだって甘えたいのに




さっきのことが恥ずかしすぎて無理。





「…ひかる…。」



涙でぐしょぐしょに濡れた顔をクッションに埋めると、そっと頭に温もりが触れた。




「…本当にごめん。引いたとかじゃなくて、ただひかるを大事にしたいだけなんだ。雰囲気に流されたまま抱きたくなんかない…。」





撫でる手のひらが優しい。




あー…好き。



こんなに好きなのに、どうして離れちゃったんだろうな。




「…デートの場所決めよ?泣かせた分、いっぱい楽しませるから。」




「光輝と一緒ならどこでも楽しいもん、バカ。」




「ふっ、ホント可愛い。」








しばらく心地いい手のひらは続いて。





幸せを噛み締めながら、デートの場所を決めた。






「ふふ、何年ぶりかなー?」



「初デートからだから、4年くらいじゃない?」







そう、思い出の場所、水族館です!!








幻想的な青い光に包まれてみる魚はやっぱり綺麗。






「前みたいにはしゃがないの?」




「バカにしないでよ、もうあたし18だもん。あのときの光輝と同学年!!」




「…そっか、追いつかれたんだ。」






そう呟く瞳はまだ切ないけど。






いつかきっと、元通りになるよね。






離れた間のことも、笑って話せるようになるよね…?












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