*お向かい彼氏*
すっかり暗くなったあたりを車のライトが照らす。
今ここで帰りたくないなんて言ったって光輝さん困らすだけだ!
うん!そうと決まれば帰ったらバレンタインの計画立てなくちゃ!
「光輝さん何階の部屋ー?」
「俺?…3階の右から二番目。」
「あっ正面だー!あたしは2階だけど…。」
そんなことが嬉しくて。
でもふと運転する光輝さんを見て口をつぐんだ。
「…なんか怒ってる?」
だって…難しい顔をして
あたしの方見ないんだもん。
急に不安になってさっきの感情がまた沸き上がり胸がギュッとなる。
「…いや、別に!もうすぐ着くよ。寒いから部屋まででもコート着て。」
あたしの問いには答えてくれなかった。
すぐに笑顔になったからそれ以上聞けないまま光輝さんのマンションの駐車場に到着してしまう。
「じゃあ、気をつけてね。」
「…向かいだし!」
バイバイ。
嫌な別れ方。