*お向かい彼氏*
エントランスのインターホンを鳴らして待っても誰も出ない。
…あれ、いないのかな?
鍵で開けて家に帰るとやっぱり真っ暗だった。
リビングの置き手紙には出かけるという母の文字。
なーんだ、じゃあ夕飯食べて帰って良かった。
クセでカバンに入ったケータイを取り出すとさっきは気づかなかったたくさんの…メール。
お母さんに送ったまま何にも見てなかったんだっけ。
見ると下から莉々、祐希、美空、その他クラスの女子大勢。
あー、もしかして。
ざっと見ると予想通り今日あっさりバレた光輝さんのこと。
部屋に戻り全員に一斉メールした。
『質問は明日。おやすみー!』
一々返してられるか、そんなの。
明日祐希にバレンタインの相談しよ。
パタンと閉じたケータイも自分もベッドに放り投げる。
着替えなきゃ。お風呂入んなきゃ。
「楽しかった…のになぁ。」
何でかモヤモヤ。
そんな時、先ほど放り投げたケータイがまた光る。
さっきのメールの返信かなぁ…。
「って…光輝さん?」