*お向かい彼氏*
選んだのは、近くにあったレースで縁取られたリボンのヘアアクセ。
美空は女の子らしいから。
「あっ、それ好き!これにしよっと♪」
おっ…。
瞬時にあたしの手からそれを奪い去りレジへ。
全く…美空らしいや。
クスリと笑ってお財布を出す美空の後ろ姿を見つめる。
…あ、あたし、今笑えた。
バレンタインから、初めてじゃないかな。
こういう時、友達がいて良かったなって思える。
袋を下げてニコニコと帰ってきた美空と変わるようにさっきのペンダントを買う。
待っていてくれた彼女はあたしの顔を見つめて言った。
「…ひかる、なんかあったんでしょ?うち、いつでも聞くからね。」
あたしの変化に気づいていたのは、祐希だけじゃなかったみたい。
ため息を1つ。
「公園行かない?…話、聞いて欲しいかも。」
「うん、いいよ!」
あたし、すごい周りに助けられてるなぁ…。