*お向かい彼氏*
ふわっと春の匂いがする外に出た。
あ…。マジでいる。
道路を挟んだあたしのマンションの壁に寄りかかってる。
エントランスをじっと見つめているからあたしには気づいていない。
なんか…声かけづらい。
…ていうかなんで来たの!?
車が通らないのを確認して急いで道路を渡った。
「…浅丘くん?」
「わっ宮部…あれ、どっから?」
さっきまでいたマンションを指差した。
「俺…間違えてた?佐倉に聞いたんだけど。」
…ちっ、祐希か。
おかしいと思ったんだよね…あたし住所教えた覚えないし。
「ううん、あってる。あれは彼氏の家。」
「…ふーん。」
ちょっと顔を歪めて頷く。
もう、なんなの?
いきなり不機嫌になるし…。
浅丘くんってホント意味わかんない。