時を越えて~タラシ女子と新撰組~
土方side
あいつには、驚かされてばかりだ。
部屋を出て走っていった立花の、去っていく背中を見つめた。
「たく、またあいつは」
何処にいるかわかってるんだろうか……。
俺の部屋に来るまでに、迷子になったつーのに…。驚くっつーよりも呆れるっつーほーがあってるかもしれねぇ。
角を曲がり姿が見えなくなり、戸を閉めようとすると、ニヤニヤとした顔であいつがやってきた。
「なに、ニヤニヤしてんだよ総司」
「……あなたこそ、なに笑ってるんですか??土方さん」
そういわれて、自分が初めて笑っていることに気がついた。
あいつと居ると、鬼の仮面もはがれるもんだな……。
自分の口元が微かに緩むのを、今回ははっきりと感じた。