時を越えて~タラシ女子と新撰組~
「そないなことあらしまへん!!」
ズイッと顔を近づけながら、必死に片華さんは力強く首を横に振った。
その勢いに、少し、いやかなり吃驚したものの。怒っていない様子だったので安心した。
「南はんのお酌は、うちが……」
『い、いや……わた、ゴホンッ俺、酒は……』
一応未成年だし、と心で呟き、やんわり断ろうとする私に永倉さんが大声で止めに入った。
「おま、まさか天下の片華太夫の酌を断るってのか!?!?」
本人を横にして、片華太夫がいかに偉大な人物なのかを熱弁する永倉さん。
酔ってんな、これは……。
私は、ただただ苦笑いをこぼした。