時を越えて~タラシ女子と新撰組~
十:酒は飲んでも飲まれるな
「おい、ちゃんと酌してもらえよ!!」
永倉さんの説教という隠語が隠れた熱弁が終わり、結局私はお酒を飲むことになった。
かなり乗り気ではない。
「あ、あの……うち……」
もしかしたら、自分の所為で迷惑をかけたのではないか。そう考えたであろう片華さんは、遠慮がちに私を見上げてきた。
『あー。実を言うと、俺、お酒飲んだことないんだよ。だから、ちょっと怖くってさ』
理由を、こっそりと片華さんに伝えると吃驚したように目を丸めた。
実に、情けない男だ。私のことだけど。