時を越えて~タラシ女子と新撰組~
「お客はんが、お越しになりはりました。お座敷へ」
禿は襖の外で、正座し頭を下げていた。
襖の間から外を見れば、知らない間に辺りは薄暗くなり始めている。しかし、まだ開店して少ししか経っていないようだ。
もしかして、例の客がもう来たの??……早くない!?!?お店の前で、スタンバイしてたとしか思えない。
ターゲットのお早いお着きに、南は呆れた。が、例の客だという証拠はない。思っていたことは、心の中だけにとどめた。
「へぇわかりました。今行きますよって」
片華さんの返事を聞いて、禿はもう一度頭を下げ襖を閉めた。足音が遠ざかっていく。