時を越えて~タラシ女子と新撰組~
十九:面と向かって話しましょう
「……南ちゃん。来て」
片華の拘束を解いた沖田は、南の腕を掴むと引っ張りながら部屋を出た。
残された片華は、呆気にとられたようにポカーンと二人を見送ったが、しばらくして我に返り、ムッと薄い桃色が彩られたの頬を膨らませた。
「うちも、もっと南はんと居りたいのに。むー……沖田はんなんて嫌いどす!!」
片華が一人、南の部屋で大騒ぎしている中。沖田と南は二人近くの神社へ来ていた。
神社についても、沖田は一言も喋らなかった。
正直、片華さんとの関係が壊れるのがいやで、あれ以上抵抗できなかったから、助けてもらえたのは有り難かった。でも、気まずい。
どうしたらいいんだろうか。本気で気まずさに耐えかね始めたそのとき、沖田は唐突に頭を下げた。