時を越えて~タラシ女子と新撰組~
「そういえば、沖田組長。まだ、目が覚めないらしいな」
「あぁ、医者が言うにはもう目が覚めてもおかしくないらしいけどな」
二人の隊士が話すのを見ながら、菊池は小さくため息を吐いた。
二人の言うとおり、沖田組長はあの事件以来一度も目を覚ましていない。
立花組長は、沖田組長の傍を飲まず食わずで離れず、ずっと看病している。その姿は、段々と元気さを失っていっている。
正直、見ていられないくらいにだ。
俺は、苦しむ組長の支えにすらなれない。
その気持ちは、菊池に歯がゆさを教えた。
「い、お……おい!!菊池??」
「……!!何ですか??」
自分の世界に浸りすぎて、二人の声が聞こえなかった菊池は、ハッとして顔を上げた。