時を越えて~タラシ女子と新撰組~
「門のほうを、ちょっと見てきます」
菊池を一礼すると、隊士たちから背を向けた。
◇
「あの、南はんに会いたいんどすが??」
「そんなことより、俺と一晩どうですか??」
「お前、天下の片華太夫になんつー事言ってんだ」
片華を取り囲むように、隊士がワラワラと集まる。片華は用件を伝えるが、隊士たちは、自分たちの世界の中だ。
「あ、あの」
片華は、苦笑いを浮かべながら、それでも話しかける。
「何をしているのですか、客人を困らせて……。副長にバレレば、怒られますよ」
その光景を見た菊池は、ため息を吐きながら前へ出た。