時を越えて~タラシ女子と新撰組~
軽く重ねた唇が離れ、目を開けると指に違和感を感じた。
見ると、薬指に花で作られた指輪がはめられていた。
『すごい。花の指輪だ!!』
指にはめられた花の指輪を空にすかし喜んでいると、ブワッと強風が吹いた。
強風に混ざって花畑の花びらが吹き上げられた。風が通りすぎ花びらだけがフワリとゆっくりと舞い落ちる。
その花びらの中、二人は手をつなぎ空を見上げた。
舞い落ちる花びらのなか。もう一度キスを一つ。
死が二人を別つまで
“どうか、いつまでも二人ともにありますように”
そう願う、南の花の薬指が優しく揺れた。
【おわり】