依存症なあたし様
「……槇さんが……今日家に戻ってきました」
俺がそう呟くと、しおり先輩は少し目を見開いたけど、それは一瞬のことですぐ元に戻った。
『……あんたは用なしってわけだ』
「……(´;ω;`)」
そんなはっきり言われると……
心のどこかでは、まだ俺を必要としてくれるんじゃないかって。
槇さんと俺は違うって言ってほしかったのかもしれない……
俺がシュンとしているとしおり先輩は立ち上がった。
……どうかしたのかな?
「……しおり先輩?」
『しばらくあんたは……辛い思いをする。そのことを覚悟しといたほうがいい。』
「辛い……思い……」
『辛くなったらいつでもおいで。』
しおり先輩はそう言って路地裏から去ってしまった。
辛い思い……か。
これから俺はどうするべきなんだろう。
槇さんが戻ってきた今、あの家で一緒に住めるわけがない。
「……とりあえず自分の家に戻るしかないか」
誰もいない路地裏でポツリ呟いて、路地裏を後にした。