依存症なあたし様


「……ぁ」


思わず声がでた。


確かその小物入れは


「綾があげたやつ……」


そう。


綾は槇さんがいなくなった時になくなったと言っていた。


その小物入れはきっと、今無傷で机の上にある物だろう。


槇さんは……ずっと大切に持ってた……?


「……なっ…んだよそれ……」


最初から俺が入る隙間なんてどこにもなかった。


出会った時から。


出会う前から。


それはきっと、これからも変わらないんだろう。


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