空と月の下
高く高く、青い空。
あまりの青さに雲の白さが際立って見える。
太陽の光は七色に輝き、灼熱の日差しが全てを覆っていた。
そして、嫌な程に響く蝉の大合唱。
「あちぃ…」
生温かい風にあおられ、教室のカーテンが舞っている。
窓という窓を全開にしたまま、一人の少女が教室のベランダのさくにもたれ掛っていた。
長い髪を一つに束ねているが、あまりの暑さに後れ毛が首にまとわりついている。
少女はまとわりついている髪を手で外し、もう片方の手で仰ぐ。
気休めとは分かっているけれど、やらずにはいられないほどの暑さだ。
「おいおい、美菜。お前、もうちょっとマシな言葉使おうよ。あつい~、とかさ」
注意しながら、少年は美菜の隣に腰を下ろした。
「いいの、いいの。ここまで暑いんだから…ちょっとやそっとのことで誰も気にしないって…あぁ、ホント暑い…」
深いため息をつきながら、美菜は遠くを見つめた。
その視線を追い、少年も遠くを見つめるが、その先には何もなく、少年は首を傾げた。
「何、何があるわけ?美菜が遠く見てるから何なのか見てみたけど、俺には何も見えん」
「はぁ…。甲斐はバカだなぁ…」
「はぁ?」
「何もないよ。確かに、何にもない。ただただ暑いし、見えるのは空に雲、そして太陽!いつもと同じ。けどさ…」
束ねた髪を持ちあげ、手で遊ばせるように風になびかせる。軽く首を甲斐へ向け、美菜は思い切り笑顔を見せた。
景色に溶けるような美菜の表情に、甲斐の心が動く。
だが、慌てた甲斐は、その心情をすぐに隠した。
「夏だな、と思って」
「は?全然意味が分からない」
あまりの青さに雲の白さが際立って見える。
太陽の光は七色に輝き、灼熱の日差しが全てを覆っていた。
そして、嫌な程に響く蝉の大合唱。
「あちぃ…」
生温かい風にあおられ、教室のカーテンが舞っている。
窓という窓を全開にしたまま、一人の少女が教室のベランダのさくにもたれ掛っていた。
長い髪を一つに束ねているが、あまりの暑さに後れ毛が首にまとわりついている。
少女はまとわりついている髪を手で外し、もう片方の手で仰ぐ。
気休めとは分かっているけれど、やらずにはいられないほどの暑さだ。
「おいおい、美菜。お前、もうちょっとマシな言葉使おうよ。あつい~、とかさ」
注意しながら、少年は美菜の隣に腰を下ろした。
「いいの、いいの。ここまで暑いんだから…ちょっとやそっとのことで誰も気にしないって…あぁ、ホント暑い…」
深いため息をつきながら、美菜は遠くを見つめた。
その視線を追い、少年も遠くを見つめるが、その先には何もなく、少年は首を傾げた。
「何、何があるわけ?美菜が遠く見てるから何なのか見てみたけど、俺には何も見えん」
「はぁ…。甲斐はバカだなぁ…」
「はぁ?」
「何もないよ。確かに、何にもない。ただただ暑いし、見えるのは空に雲、そして太陽!いつもと同じ。けどさ…」
束ねた髪を持ちあげ、手で遊ばせるように風になびかせる。軽く首を甲斐へ向け、美菜は思い切り笑顔を見せた。
景色に溶けるような美菜の表情に、甲斐の心が動く。
だが、慌てた甲斐は、その心情をすぐに隠した。
「夏だな、と思って」
「は?全然意味が分からない」