空と月の下
美菜以外に誰もいない教室。
はためくカーテンの音だけが響いている。
一人だということを実感させるこの雰囲気の中、美菜は静かに鞄を持ち教室を出た。
廊下に出ると、他の教室には生徒が残っているのか、人が話している声が聞こえる。
ほんの数時間前までは数十人の生徒で各教室は埋め尽くされていたはずなのに、今は美菜が歩く音が身近に聞こえるだけ。
「さて、帰ろうかな…」
少しだけひんやりとしている廊下を歩き、美菜は甲斐を呼びに来た沙紀のことを思い出す。
沙紀は甲斐だけを見ていた。
そして、美菜と決して視線を合せなかった。
無意識のようで、故意的な触れ方。
「きっと、好きなんだろうな」
そう考えている時に、ふいに聞こえてくる笑い声。
美菜は足を止め、笑い声のする教室の窓から中を覗いた。
聞き覚えのある声。
甲斐は笑顔を浮かべ、委員会を進めていた。
「そっか、ここ、委員会の場所だったか」
賑やかで笑顔溢れる雰囲気の中、美菜は自分のいる廊下を見渡す。
白くて長い廊下には美菜以外誰もいない。
あまりにも対照的な雰囲気に、美菜は寂しさを感じた。
「帰ろう…」
美菜は靴箱に向かって歩き出す。
そして、靴を履き終えた美菜が校舎を出た頃に、甲斐が参加していた委員会が終わり、教室の扉が開いた。
「あ、やっと終わった。帰れる…」
「甲斐、お疲れ!次は忘れずにね!」
「あ、あぁ、はいはい」
腕を上に上げ、伸ばしながら甲斐は教室の後片付けに取りかかった。その隣で、明るく声を掛ける沙紀の姿。
他の生徒は委員会が終わると即座に帰り、気付けば甲斐は沙紀と二人きりになっていた。
はためくカーテンの音だけが響いている。
一人だということを実感させるこの雰囲気の中、美菜は静かに鞄を持ち教室を出た。
廊下に出ると、他の教室には生徒が残っているのか、人が話している声が聞こえる。
ほんの数時間前までは数十人の生徒で各教室は埋め尽くされていたはずなのに、今は美菜が歩く音が身近に聞こえるだけ。
「さて、帰ろうかな…」
少しだけひんやりとしている廊下を歩き、美菜は甲斐を呼びに来た沙紀のことを思い出す。
沙紀は甲斐だけを見ていた。
そして、美菜と決して視線を合せなかった。
無意識のようで、故意的な触れ方。
「きっと、好きなんだろうな」
そう考えている時に、ふいに聞こえてくる笑い声。
美菜は足を止め、笑い声のする教室の窓から中を覗いた。
聞き覚えのある声。
甲斐は笑顔を浮かべ、委員会を進めていた。
「そっか、ここ、委員会の場所だったか」
賑やかで笑顔溢れる雰囲気の中、美菜は自分のいる廊下を見渡す。
白くて長い廊下には美菜以外誰もいない。
あまりにも対照的な雰囲気に、美菜は寂しさを感じた。
「帰ろう…」
美菜は靴箱に向かって歩き出す。
そして、靴を履き終えた美菜が校舎を出た頃に、甲斐が参加していた委員会が終わり、教室の扉が開いた。
「あ、やっと終わった。帰れる…」
「甲斐、お疲れ!次は忘れずにね!」
「あ、あぁ、はいはい」
腕を上に上げ、伸ばしながら甲斐は教室の後片付けに取りかかった。その隣で、明るく声を掛ける沙紀の姿。
他の生徒は委員会が終わると即座に帰り、気付けば甲斐は沙紀と二人きりになっていた。