空と月の下
「甲斐?」
「………あ…」
沙紀は甲斐に近づき、顔を覗き込む。
ふいに近づく沙紀に、甲斐は視線を合わせた。
ぶつかる視線。
甲斐は逸らすことなく沙紀を見つめる。
それは沙紀も同じだった。
「……帰ってもいいよ。後は私が片付けるから」
「え…いいよ。ごめん。ホントに」
「大丈夫?」
「え?何が?」
「何かあった?」
「……なんでもないよ」
「そう」
無理矢理会話を終わらせた甲斐に、沙紀は何も言わず、納得すると甲斐から離れ、片付けを再開した。
予想していなかった返事に甲斐は呆気にとられる。
「え…それだけ?聞かないの?」
「だって、言いたくないんでしょ?」
「………」
「だから聞かないだけ」
沙紀の言葉に、甲斐は自分に対してため息をついた。
「はぁ…」
「?ため息?」
「ホント、ごめん。俺、馬鹿だわ…ホント」
「え、え?何?話がよく分からない」
懸命に考えて首を沙紀に近づき、甲斐は机の位置整理の手伝いを始める。
「あ、いいよ。私やるよ」
「いいって。俺の仕事でもあるから」
「でも…」
沙紀が慌てて机に手を掛けた時、甲斐も同じ机に手を掛けていた。
お互いに手が触れ、我に返った時には、一つの机を二人で持っている状態だった。
「あ、ごめん。俺…」
「ううん。私こそ………ふふっ…」
「え…あ、はは。確かに間抜けだよな、このままは…」
甲斐は静かに手を離すと、沙紀はゆっくりと机を下に置き、満面の笑顔を甲斐に向けた。
その笑顔に、甲斐の心は揺れた。
「違うよ」
「?」
「確かにこの出来事は可笑しいかもしれないけど、私が笑った理由は違う」
「え…」
「楽しいから」
「………あ…」
沙紀は甲斐に近づき、顔を覗き込む。
ふいに近づく沙紀に、甲斐は視線を合わせた。
ぶつかる視線。
甲斐は逸らすことなく沙紀を見つめる。
それは沙紀も同じだった。
「……帰ってもいいよ。後は私が片付けるから」
「え…いいよ。ごめん。ホントに」
「大丈夫?」
「え?何が?」
「何かあった?」
「……なんでもないよ」
「そう」
無理矢理会話を終わらせた甲斐に、沙紀は何も言わず、納得すると甲斐から離れ、片付けを再開した。
予想していなかった返事に甲斐は呆気にとられる。
「え…それだけ?聞かないの?」
「だって、言いたくないんでしょ?」
「………」
「だから聞かないだけ」
沙紀の言葉に、甲斐は自分に対してため息をついた。
「はぁ…」
「?ため息?」
「ホント、ごめん。俺、馬鹿だわ…ホント」
「え、え?何?話がよく分からない」
懸命に考えて首を沙紀に近づき、甲斐は机の位置整理の手伝いを始める。
「あ、いいよ。私やるよ」
「いいって。俺の仕事でもあるから」
「でも…」
沙紀が慌てて机に手を掛けた時、甲斐も同じ机に手を掛けていた。
お互いに手が触れ、我に返った時には、一つの机を二人で持っている状態だった。
「あ、ごめん。俺…」
「ううん。私こそ………ふふっ…」
「え…あ、はは。確かに間抜けだよな、このままは…」
甲斐は静かに手を離すと、沙紀はゆっくりと机を下に置き、満面の笑顔を甲斐に向けた。
その笑顔に、甲斐の心は揺れた。
「違うよ」
「?」
「確かにこの出来事は可笑しいかもしれないけど、私が笑った理由は違う」
「え…」
「楽しいから」