空と月の下
美菜は小さなため息をつく。


新郎新婦が教会を出ると、招待客が列を作りながら披露宴会場へ大移動を始めていた。
美菜は、その列の中に紛れ込み、流れにそって移動を始める。


階段を下り、少し肌寒い会場の披露宴は、徐々に招待客で埋まり、準備が整いつつあった。

席次表を確認して、美菜は自分の席に向かう。
そしてテーブルに近づきつつあった時、先に席に座っていた友人から声を掛けられた。




「美菜!こっち、こっち!」

「郁!」




郁は少々目立つお腹に手を当て、席を立ち上がる。




「いいよ、いいよ!無理しないで。座って!ほら!」




慌てて席に向かい、荷物を椅子に置くと、郁を支えながら椅子に座らせた。




「もう、大丈夫なのに。5カ月、安定期に入ったんだから」

「いやいや、完全に安心しきっちゃダメでしょ…」

「まぁまぁ、ホント大丈夫!でも、ゆっくり来たから式には出られなかったの。後で写真見せて!」

「いいよ。あぁ、まだ披露宴開始まで時間あるから、見る?」

「見る!」




郁にデジカメを渡し、美菜は自分の荷物の整理をすると、席に座った。
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