空と月の下
「あ…」
美菜の瞳に映ったのは、昼間に見た二人の姿。
甲斐と沙紀の姿だった。
美菜の眼は見開かれ、驚きのあまりに声に出したまま開いた口は閉じられない。
甲斐の視線は沙紀に向けられ、優しげな笑顔を浮かべている。
今までに見たことのない表情に、美菜は心の奥に衝撃が走った。
目を逸らしたいと思っているのに、体が言うことを聞かず、呆然としたまま甲斐と沙紀の姿を見ている。
二人の姿が美菜の前を通り過ぎようとした時に、甲斐がふと逸らした視線が美菜の瞳を捉えた。
甲斐は足を止め、美菜を見ている。
歩みを止めた沙紀は、甲斐の視線を辿り、美菜の存在に気付いた。
「………」
美菜、甲斐、沙紀の三人の間に沈黙が流れる。
甲斐と沙紀の距離は近く、美菜の心は締め付けられていた。
息苦しく、落ち着かない。
声を出そうにも、声をうまく出すことができなかった。
どうしたらいいのか更に心が焦りだす中、甲斐の隣にいた沙紀が、甲斐の腕を掴み、耳元で何かを話した。
「分かった」
甲斐は沙紀と視線を合わせると、沙紀の言葉に応答した。
答えを聞いた沙紀は甲斐から離れ、花火大会の会場方面へ先に向かった。
「え…あ…」
沙紀の姿を視線で追い、呼び止めようとしたが、それを遮るように甲斐が美菜に声を掛けた。
「沙紀は会場入り口辺りで待ってるって言ってたから、いいんだ」
「…え…あぁ…そうなんだ…」
いつもと同じような二人の距離と位置。
美菜は少しだけ安堵した。
「あのさ、ちょっといい?美菜に話があるんだ」
同じはずの距離が、なぜか遠く感じる。
同じはずの位置が、なぜか違う気がした。
何かが違う。
そんな不安に押しつぶされそうになりがながらも、美菜は必死にこらえ、甲斐の言葉に耳を傾けた。
美菜の瞳に映ったのは、昼間に見た二人の姿。
甲斐と沙紀の姿だった。
美菜の眼は見開かれ、驚きのあまりに声に出したまま開いた口は閉じられない。
甲斐の視線は沙紀に向けられ、優しげな笑顔を浮かべている。
今までに見たことのない表情に、美菜は心の奥に衝撃が走った。
目を逸らしたいと思っているのに、体が言うことを聞かず、呆然としたまま甲斐と沙紀の姿を見ている。
二人の姿が美菜の前を通り過ぎようとした時に、甲斐がふと逸らした視線が美菜の瞳を捉えた。
甲斐は足を止め、美菜を見ている。
歩みを止めた沙紀は、甲斐の視線を辿り、美菜の存在に気付いた。
「………」
美菜、甲斐、沙紀の三人の間に沈黙が流れる。
甲斐と沙紀の距離は近く、美菜の心は締め付けられていた。
息苦しく、落ち着かない。
声を出そうにも、声をうまく出すことができなかった。
どうしたらいいのか更に心が焦りだす中、甲斐の隣にいた沙紀が、甲斐の腕を掴み、耳元で何かを話した。
「分かった」
甲斐は沙紀と視線を合わせると、沙紀の言葉に応答した。
答えを聞いた沙紀は甲斐から離れ、花火大会の会場方面へ先に向かった。
「え…あ…」
沙紀の姿を視線で追い、呼び止めようとしたが、それを遮るように甲斐が美菜に声を掛けた。
「沙紀は会場入り口辺りで待ってるって言ってたから、いいんだ」
「…え…あぁ…そうなんだ…」
いつもと同じような二人の距離と位置。
美菜は少しだけ安堵した。
「あのさ、ちょっといい?美菜に話があるんだ」
同じはずの距離が、なぜか遠く感じる。
同じはずの位置が、なぜか違う気がした。
何かが違う。
そんな不安に押しつぶされそうになりがながらも、美菜は必死にこらえ、甲斐の言葉に耳を傾けた。