ばかな私。

虚しい。ただ虚しいだけじゃない。

怒りと虚しさと。
私はもう、そんな重荷を抱えながら待つことなんてできない。

「もう、ほんっと……バッカみたい」

視界がぼんやりとする。
恥ずかしい。こんなところで泣くなんて。でも、止まらない。

雫が地面に落ちようかとするとき、私の肩は誰かによって思いっきり掴まれた。

「早瀬!」

なんで、このタイミングで来るかな。この、バカ。

「ほんとごめん! ……とりあえず、これ」

差し出されたのは彼のハンカチ。私はそれを無言で受け取って目尻に当てる。

どうしようもなく、バカなのは私だ。

だってもう。
ここに彼が来てくれただけで、満たされてしまった。

あの虚無感も、苛立ちも。
すべて消え失せてしまって。

ああ、私って、バカ。


(完)
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