Cendrillon.
「…ん、美味しい。
やっぱりイッキのコーヒーは美味しいわね」
「マシンにお任せだよ」
「でも、私もイッキと同じマシン買ったけど、
やっぱりこの味にはならないもの。
だからやっぱり、イッキの淹れ方が上手いのよ」
其処まで言われてしまえば、
照れ隠しに頭をがしがしと掻くしかなくて。
そんな彼の癖さえも見抜いている彼女は、
「だからまた飲みに来るね」
「…あっそ」
そんな何時になるかも分からない約束、いらない。
心の中でそう呟いたけれど、本心ではやっぱり嬉しかった。