Cendrillon.
これから起きる事が全て分かっている様に、
それでも尚、早くと急かす様に、
彼女は妖艶に微笑み彼の頬を撫でる。
誘われる様に唇を近付ければ、其れは深く重なって。
絡み合う舌と身体に意識を集中させれば、湧き上がるのは情欲。
殆ど本能の儘、ソファの上で彼女を掻き抱いた。
「…っはぁ、あ、伊月(いつき)…っ」
行為の時だけは、本名で呼ぶ彼女。
だから彼も、
「沙織(さおり)っ…」
「んっ…、愛してる、伊月…っ」
「…っ俺も、愛してる…」