映画館の片隅で…【TABOO】
アクション映画を見るような趣味はないはず…



しかも、チラリと見えた口許は口角が上がり、何か企んでいる時の顔をしていた



そちらが見えぬように背中を向けて座り直し、思い出になりきれていない男に小さな反抗を試みる



まだ、心の片隅に住んでいる男の匂いのせいなのか、銃撃音のせいなのか…心臓がはしゃいでいる



映画に夢中の男に気づかれぬよう、深い呼吸をしていると…



膝に乗せたコートの中に、大きな手が滑り込んできた



そう、私のことを隅々まで知り尽くしたあの手が…
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