吸い付く肌
「全く西田課長には 困ったもんだな」

スナックを出て、二人になると 真壁さんは 呆れたように笑った。
「ほんとに。あの女の人と 出来てるのかな」
フフ、と笑いながら 私は答える。


思いがけず 二人になってしまった。

真壁さんは 危ないから気をつけて、と昨日先輩から言われたばかりなのに。


「そういえば 山崎さん」

「あ、はい」

良からぬ考えを推しやって 私は 真壁さんを見た。

「確か もうすぐ結婚するんだよね」

「あ、はい…」

何故だか 今 その話題をして欲しくなかった。

何かを期待してしまったのが 恥ずかしい。
「じゃあ 色々準備で忙しいね」

「あ、そんなことないです」

下を向いて歩く。
このまま 二人で 何処か。

心でこっそり思った。
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