吸い付く肌
「はぁ…はぁ…」

「ま、かべさ…」

獣のような瞳で 私を見下ろす。

規則的に 打ち付けられる真壁さんの腰が 深く浅く私を貫く。
マリッジブルーだとか独身最後の冒険だとか理由を色々考えた。

けれど どれも 違っていた。

真壁さんが シャツを脱いだ瞬間 その身体に 引き寄せられていた。

この身体に 抱かれたい。

もう 止めることなんか出来ない。

きっと 初めて逢った日から ずっと そう思っていたんだ。

吸い付く肌が 私を狂わせる。

私を壊して。

もう どうにかなってるから。

夢中で真壁さんの背中にしがみつく。

絡ませた瞳は 愛情に似た幻想。


最初で最後の。

それを二人とも 判っていたから。

少し悲しい気持ちで、真壁さんの薬指の指輪を噛んだ。


…了
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