恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
「そんなん……俺と一緒でいいじゃねぇか」
昔からの知り合いだからか、煌くんの言葉遣いは理事長を前にしても荒い。
「そうはいかないわ。
住所は……そんな簡単にはわからないと思うから、いいとして、名字はすぐに怪しまれるわ。
ただでさえ、あなたは目立ってるんだから……女子は黙ってないわよ」
さっきの女子達を思い出す。
煌くんと一緒にいただけで、あんなこと言われるんだ。
先のことを考えるとゾッとする。
「逆くにそっちの方がいいんじゃねぇか?
親戚ってことにして、一緒に住んでるって言えば。
そしたらあいつらも、手は出しにくいだろ?」
親戚…………
それなら……いい……かも…しれない。
「親戚……ねぇ」
理事長は何か、考え込んでるようだ。
顎に手を当ててぶつぶつ呟いている。