恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
漢字までいいって言ったのに、考えてくれた。
みんなに愛されるように、みんなに愛を与えるように。
そういう意味らしい。
なんだか少し照れ臭い。
そうこうしている間に、目的地へと着いた。
「ごめんなさい!待った?」
目的地とは、病院の中庭だ。
そこのベンチに腰掛けていた月色の頭をした彼に謝った。
「いや、そんなに待ってねぇよ」
そう、煌くんだ。
「また、走って来たのか?
無理するなよ」
息を切らしているわたしを見て、煌くんは言った。
「このくらい大丈夫だよ!」
笑って言うと煌くんは、わたしの頭をくしゃくしゃに撫で回した。
「もう!くしゃくしゃになる!」
怒って言うと今度は笑った。
「絶対楽しんでるでしょ!」
そう怒って言うけど、なぜか嫌な気はしない。
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