恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
「そう……なんですか……」
そっか……保健の先生だもんね……
生徒の病気とか、知っとかなきゃいけない。
「愛依………?」
麻凛は、何のことかわかっていない。
きっと、気になってる。
「麻凛、今まで黙っててごめんなさい」
「どうしたの……?」
心配そうにわたしを見つめる麻凛。
「わたしね…………記憶が、ないの」
「えっ?」
「どこに住んでいたのかも、本当の名前も、親も………わからない」
「でも………警察に頼めば……」
わたしは、頭を横に振る。
「それが……わからないの。
ただ単に見つからないだけなのか………それか……親が届け出を出してないのか………」
わたしは、麻凛を見ることが出来なくて、下を俯いた。