恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
「昨日言っただろうが!
13時に中庭って!」
目の前まで来た煌くん。
身長差が結構あるので、わたしは蛇に睨まれた蛙みたいな状態だ。
「えっ……?」
あれって……
「冗談じゃ……なかったの……?」
わたしが言うと、眉間に寄っていた皺がさらに濃くなった。
「冗談じゃねぇよ……
……冗談で…あんなこと……言うわけねぇ」
「ご、ごめんなさい……」
しばらくの間、沈黙が流れた。
冗談でもとりあえず、中庭に行けばよかった。
そしたら、煌くんもこんなに怒る必要がなかったのに…………
わたしが一人で落ち込んでいると、溜息が聞こえベッドからキシリッという音が鳴った。
音のした方を見るとどうやら、煌くんが溜息をついて、ベッドに腰掛けたみたいだ。
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