恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
煌くんは、わたしを見て呟いた。
「嫌なら…はっきりそう言え」
煌くん………?
煌くんはものすごく淋しそうな顔をした。
わたしは一つ呼吸を置いてから、ゆっくり答えた。
「嫌じゃないよ。
………嫌なわけない」
煌くんは、わたしから目を反らし、「そっか……」と、小さく呟いた。
また、沈黙が流れた。
それを先に壊したのは、ベッドから腰を上げた煌くんだった。
「俺も、すまなかった……」
そう呟くと病室の入り口まで歩いて行き、立ち止まってこっちを振り向いた。
「今日は、帰る……
……明日は来いよ?」
わたしが頷いたのを確認し、安心したように笑って帰って行った。
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