恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】



煌くんは、わたしを見て呟いた。




「嫌なら…はっきりそう言え」



煌くん………?




煌くんはものすごく淋しそうな顔をした。




わたしは一つ呼吸を置いてから、ゆっくり答えた。




「嫌じゃないよ。
………嫌なわけない」





煌くんは、わたしから目を反らし、「そっか……」と、小さく呟いた。






また、沈黙が流れた。



それを先に壊したのは、ベッドから腰を上げた煌くんだった。




「俺も、すまなかった……」




そう呟くと病室の入り口まで歩いて行き、立ち止まってこっちを振り向いた。





「今日は、帰る……
……明日は来いよ?」




わたしが頷いたのを確認し、安心したように笑って帰って行った。














.
< 20 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop