恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
ガラリ………
風呂場には、愛依が座っていた。
一先ず安心……
だと、思ったんだが…………
愛依は、風呂場の扉を開けたことにも気がつかず、何かに取り付かれたように、身体の同じ部分を何度も擦っていた。
「…………ック」
泣きながら………
「愛依」
返事をしない………
「愛依!!!」
さっきより、強めに名前を呼ぶと、肩を大きく跳ねさせ、顔だけ俺の方を向けた。
「き、らくん……?」
愛依は身体が見えないように丸く縮こまる。
「なんで………」
「もう、2時間経ってんだよ………心配して見に来たんだ」
「声かければ、よかったのに………」