恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
想いと想い
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………ん…?
ここは………?
見覚えのある天井だ。
えっ……と……煌くんの部屋?
何で………?
ってことは、わたしが寝てるのは……煌くんのベッド…!?
わたしは、恥ずかしさから飛び起きた。
嘘……わたし………どうやって?
帰って来た記憶もないし……もちろん煌くんのベッドに入り込んだ覚えもない。
じゃあ……誰が……?
そう言えば………わたし………
閻魔の男に………
嫌なこと思いだしちゃった……
はあ………
あれ……?体が……動く……
まだ少し痺れているものの、動かすことは出来る。
薬、効果がなくなってきたんだ。
カチャリ……
手をグーパーして動かしていると、部屋のドアが開いた。
その方を見ると、少し腫れた顔に湿布を貼った篤斗くんがいた。
「……愛…依…ちゃん?」
わたしの名前を驚いたように呼ぶから「おはよう、篤斗くん」って返すと、ドタドタとわたしのところまで近付いてきた。
「よかった……目が覚めたんだ……」
「うん、もう大丈夫だよ」
わたしが笑うと、篤斗くんは反対に、泣きそうな顔になった。
「愛依ちゃん……ごめん……
僕が……もっと強ければ………」
そう言って、篤斗くんは項垂れた。
「そんなこと……言わないで?
わたし……こうやってちゃんと戻って来れたし……元気だから……」
「愛依ちゃん……」
篤斗くんは、わたしに手を伸ばしてきた。
けど、わたしは…………パシン……と、その手を払いのけた。