恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
ちょっと……どこに行くの!?
女の人は、わたしを担いだまま、マンションを出た。
誰にも会わなかったから変な目で見られることはなかったけど、この場合、見られた方がよかったんじゃ……
これじゃあ、助けてもらえない……
足をばたつかせようと思ったけど、ガッチリ足を固定されているから出来ない。
そうこうしているうちに、どこからか黒い車がやってきて、女の人は、わたしをその中に乗せ自身も乗り込んだ。
乗り込んだのを確認し、直ぐ様車は発車した。
「あ、あの………どこに…行かれるんですか?」
おそるおそる聞くと、女の人は優しく微笑んだ。
「秘密」
“すぐにわかるわ”と、あとからつけたし、女の人は、わたしから視線を外し、外を眺めていた。
なんだろ……この人……
最初は怖かったけど、今は、……そんなの全く感じない。
悪い人じゃないのかも………
無理矢理連れ去られて、思えることじゃないはずなんだけど………