恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
それから、二人とも一言も喋ることなく車に揺られて数十分。
「到着しました」
ダンディーな運転手さんが、静かな車内で一言言った。
すると、車のドアが女の人が触れてないのに開いた。
えっ……何で……?
「ありがとう」
女の人は、にこりと笑うと、車から降りた。
わたしは、ボーッとそれを眺めていたら、"何やってるの?あなたも早く降りて"と、促された。
わたしは、慌てて車を降りた。
車から降りて、視界に入ったのは……女の人と…………大きな、ものすごく大きなお家だった。
いや、これはもうお屋敷じゃないかな?
「着いてきて」
それだけ言うと、身体を翻して屋敷の中へと入って行く。
わたしもそれに続いた。
廊下を歩き、階段を上り、また廊下を歩いて何回か曲がって………やっと女の人の足が止まった。
その前には、1つの扉が………