恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】



「煌くん」



わたしが目の前で名前を呼ぶと、やっとわたしがいることに気がつき、視線を合わせた。





「愛依……」




元気がない煌くん。

やっぱり……さっきのが原因?




「さっきは……ごめん」



煌くんは謝った。



「わたしこそ、ごめんなさい。
言い過ぎた」




わたしも感情的になりすぎた。


もっといろんな言い方があったのに。




「煌くん、手痛くない?」



わたしは愁さんを殴った煌くんの右手を手に取った。



「痛くねぇよ」



「そっか……よかった」




もう、この手で人を殴ることがなければいいのに………



人を殴るということは、悲しいことだから。



だけど、煌くんは大切な人を守るためには、殴ると思う。


自分が傷つくことにはきっと惜しまない。



煌くんは優し過ぎる。













< 75 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop