恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
「煌くん」
わたしが目の前で名前を呼ぶと、やっとわたしがいることに気がつき、視線を合わせた。
「愛依……」
元気がない煌くん。
やっぱり……さっきのが原因?
「さっきは……ごめん」
煌くんは謝った。
「わたしこそ、ごめんなさい。
言い過ぎた」
わたしも感情的になりすぎた。
もっといろんな言い方があったのに。
「煌くん、手痛くない?」
わたしは愁さんを殴った煌くんの右手を手に取った。
「痛くねぇよ」
「そっか……よかった」
もう、この手で人を殴ることがなければいいのに………
人を殴るということは、悲しいことだから。
だけど、煌くんは大切な人を守るためには、殴ると思う。
自分が傷つくことにはきっと惜しまない。
煌くんは優し過ぎる。
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