恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
「煌くん、ありがとう」
わたしはお礼を言った。
嬉しかったことには、変わりはないから。
だけど、煌くんは困ったように笑った。
「俺は……考えるより先に、手が出てちまう……」
「その時は、わたしが止める」
煌くんが傷つかないように。
絶対、止めてみせる。
「ありがとう………」
煌くんは、わたしの手を握り締めた。
と、思ったら腕を引かれ、腰に腕が回ってきた。
煌くんに抱きしめられた。
身長の高い煌くんと、低いわたし。
煌くんが座るとわたしの肩くらいに頭がくる。
力強く抱きしめる煌くんが何だか愛しくて、抱きしめ返し、月色の頭を撫でた。
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