毒耐性
事件性のない職場と、
そこに延長する穏やかな生活。
間接照明を消して眠りに着く。
夢の中のツナ子は、ぬるい浅瀬に、
一人で立っている。
肩幅に開いた足の間には、
ぬるりと通り抜ける魚。
細かい金の鱗が、朱色の平たい体に、模様を差している。
グレーの空は、まだ明るい。
ワンピースの裾が、濡れて重い。
先週、肩まで切ったはずの髪が背中でカサついてる。
一日一日が、このところずっと長い。
重たい身体を押し上げ、ノロノロと流しへ近寄る。
夢と現実の境で混乱しそうになる。
週末が来た。
明日は実家に帰らなければ。