毒耐性
洗面台の下で、幼い頃のツナ子は、
水道下のコードをブランコにして、揺れていた。
金属製の蛇のようなコードが、
ギシギシ音を立て、手が冷たかった。
思いがけないところに居るツナ子に
母親が短い悲鳴をあげた。
田舎で生まれて、地味に育った。
中学からは、親の買ってくる下着や服を身につけるのを嫌がったし、雑誌を熟読したりも、した。
その頃はギャルっぽい、目を囲んだ派手なメイクが主流で、
見よう見まねで付けまつ毛をしたり、筆を手繰ってみたけれど
薄い顔にお面を被せたようで、ツナ子には似合わなかった。