最愛レプリカ

津村の慈しむような横顔を見て痛感する。津村が姉を本当に愛していたことを。

少しだけ表情を曇らせてしまった私に気付き、津村は繋いでいた手を引いて私の身体を寄せる。

そのまま腕を私の肩に回したので、私は津村の肩に頭を持たせかける形になった。


「俺には包み込んでくれる人が合ってるんだと思ってたけど、千晶に会って変わったんだ。」

「え?」


顔を覗き込もうと頭を浮かせると、津村の大きな掌に押さえつけられた。

髪を掬うその指が好きだと思った。
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