最愛レプリカ

「切なそうにする千晶を見ると、守ってやりたいって思うんだ。」


頭を押さえつけされてて顔は見えないけれど、声のトーンで分かる。津村はきっと愛しそうな目をしている。


「それでガキみたいに笑う千晶を見ると、一緒に笑いたくなる。」


ガキみたいって何よ。
そう言ってやりたかった。だけど言えない。今喋ると、きっとまた泣いてしまう。

津村は私の髪を優しく掬い、時折私の頭に頬を擦り寄せる。


あぁ、私、愛されていいんだ。


心の奥で沢山の『ごめんなさい』と『大好き』を繰り返しながら、日が沈んだ後の町並みを眺めていた。
< 106 / 113 >

この作品をシェア

pagetop