最愛レプリカ

教室に戻るまでの廊下で、ふと窓の外を眺めた。

太陽や、木や、土が驚くくらいに鮮やかだった。景色が眩しく感じられる夏の始まり。


「よう!今朝はどうも。」


陽気な声に反応して顔を向けると、今朝の実習生が呑気な顔をして立っていた。


「何見てたの?」

「いえ、別に。」


私はまた優等生の笑顔を作り、軽く会釈をしてその場を去ろうとした。

しかしなぜか突然、その実習生が私の進路を遮った。
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