最愛レプリカ
家族
今日は5限までだからこれで終わり。
部活もやっていない私はそそくさと帰宅する。
「また明日。」
「ばいばい、ちぃ!」
教室を出て、長い廊下を抜けて階段を下りる。
その時グッと肩を掴まれた。突然のことで、少しバランスを崩す。
「千晶ちゃん!帰んの?」
振り返れば、そこにはあの不愉快に爽やかな笑顔があった。
「……何か?」
「いや、ちょっと喋らない?」
何も喋ることなどない。一体何を考えているんだろう。訳が分からない。
「何を話すんです?」
淡々とした私の返答に口をもごもごさせている。