最愛レプリカ

リビングに向かう途中、客間に母とお客さんが居た。ふくよかなそのオバサンは確か母の友達だ。

私はとりあえず緩やかな微笑みを携えて軽く挨拶をした。


「こんにちは。」


オバサンはあら、と声を上げて、だらりと目尻を垂らして挨拶を返してきた。


「千晶ちゃん?まぁ〜綺麗になったわね!」


娘を誉められて母は少し得意げな顔になりながら、いえいえ、と謙遜した。

綺麗だと言われて悪い気はしない。だけど次に出たオバサンの言葉は、私の心をチクッと痛ませた。
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