最愛レプリカ
「あの…、あ、先生はなんでココに?」
「俺はこの近くで友達と会ってたんだよ。」
「そう……ですか。」
どうしよう、言い訳考えなきゃ。
どうしよう、何て言おう。
その時、津村はニッと笑ってこう言った。
「いい所、行こうか。」
「……え?」
津村は強引に私の手を引いてゲームセンターの外に連れ出した。
事態をよく飲み込めていない私は、数分歩いた所にある駐車場まで連れて来られた。
そしてそこに停めてあった黒い車に乗せられる。
「どこに、行くんですか?」
「いいとこ。」
私は半ば投げやりになっていた。咎められなかっただけマシだと思った。
バツが悪そうな私と、無駄に陽気な津村を乗せて、黒い車は夜の道を走る。