最愛レプリカ
「本当はさ、何かワケアリっぽかったから。これ、見せてやりたくなった。」
私は目の前に広がるいくつもの光を見た。これは全て人が生み出したもの。
そして真上には、人を見守る光があった。
「綺麗なモン見る時はな、誰でも綺麗な気持ちになるんだ。」
津村が少し照れたみたいに顔を背けたので、私はクスッと笑った。
確かにそうだ。
この夜景を前にした瞬間、私の胸のザワつきはどこかに行っていた。
ほんの一瞬だったかもしれないけれど、私の心は軽くなったんだ。