最愛レプリカ

眩しく輝く夜景が揺らぎ始めたかと思うと、じわりと滲み出した。

津村が私の顔を覗き込んで問う。


「なんで、泣いてんの?」


私は答えられず、ただ真っ直ぐに街を見下ろしていた。

星を見上げることは出来なかった。
見られている気がしたから。

瞬きのたびに、ぽたりぽたりと落ちる涙。

よく知りもしない奴の前で泣くなんて、私、最悪だ。
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