最愛レプリカ

私はそのメモを両手で大切に包み、津村にコクリと頷いて見せた。

津村の車を見送り、家に着くと静かに扉を開ける。

少し遅くなってしまった。言い訳をしなければ。


「ただいま。」


母がパタパタとスリッパを鳴かせながら出てきた。


「お帰り。遅かったじゃない。」

「ごめんなさい。朋美と課題をやっていたら遅くなっちゃった。」


日頃勉強に熱心な私の姿を見ているから、こう言っておけばすんなり信じる。


「そうなの。さ、お風呂入っちゃいなさい。」


ほらね。
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